上京遺跡・室町殿跡(花の御所) 現地説明会 資料

2013(平成25)年6月22日(土)

説明文

所在地 京都市上京区今出川通新町東入堀出シ町289他(上京区総合庁舎予定地)
調査期間 2013年4月1日〜7月19日(予定)
調査面積 1区390.5m2、2区196m2、計586.5m2

はじめに

調査地は、京都市遺跡地図では、室町時代の室町殿跡および上京遺跡にあたります。室町殿は永徳元年(1381)足利義満によって造営された邸宅で、花の御所とも呼ばれています。現在の研究では、北は上立売通、南は今出川通、東は烏丸通、西は室町通の二町がその範囲とされており、調査地は室町殿の推定範囲を西にはずれます。上京は、禁裏(御所)がほぼ現在の位置に国定された室町時代に、将軍家や公家の屋敷、寺院などが平安京の北方に形成された市街地のことで、右図にあるように下京とは室町小路で結ばれ、構えと呼ばれる堀と塀で囲われていました。江戸時代初めの絵図では、当地北側に「長谷川半兵衛」という武家屋敷があり、北東には徳川幕府の作事奉行や伏見奉行で知られる「小堀遠州」宅がみえます。


中世の上京と下京


調査位置図(1:4,000)中井家旧蔵の『洛中絵図』(京都大学付属図書館蔵:1645〜1659年頃)の一部を室町通で京都市都市計画図に重ねて調整。


調査区配置図(1:2,000)

調査の概要

1区の調査では、江戸時代前期の土坑(当時のごみ穴)が多数見つかりました。主なものに土坑12・60・65・113・120・127・129・130・146があります。一辺4〜5m、深さ1〜2.5mあります。土坑からは大量の炭や焼土とともに多量の陶磁器類が出土しています。遺物には、土師器皿・鉢・甕・塩壷、施釉陶器椀・皿・壷・茶入、焼締陶器擂鉢・盤、瓦、骨・貝殻、銭貨、鉄釘などがあります。その産地は、京都、信楽、瀬戸・美濃、丹波、備前、唐津、高取、輸入品として中国、朝鮮、ベトナムのものがあります。

2区の主な遺構には、江戸時代前期の土坑1基、室町時代の溝2条、柱穴1基があります。江戸時代前期の土坑2は南北5m、東西4m、深さ約3m確認しました。調査区外の南北方向と西方向に広がっています。この土坑からも大量の炭や焼土とともに遣物が出土しています。

室町時代の溝37は、幅約1.3m、深さ約0.5m、溝38は幅1.0〜1.5m、深さ約1.0m、どちらも南北約4.5mあり、調査区外の南北方向に続きます。

まとめ

1区・2区で見つかった多くの土坑は、江戸時代前期の各種の文献史料に残された元和6年(1620)の火災後の廃材処分のために掘られたものです。ここからは当時使用していた陶磁器類がまとまって出土しています。茶陶類が多く、当時の上京住民の暮らしや経済力を知ることができます。

また、2区の2条の南北溝は室町時代後期のもので、戦国期の堀と考えられます。

主要遺構図


主要遺構図(1:200)

写真


1区 江戸時代全景(南東から)


2区 江戸時代土坑2(南から)


2区 室町時代溝37・38(南から)

主要遺構図


大日本史料12編 33


日本耶蘇會年報


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