甘樫丘東麓遺跡の調査(飛鳥藤原第177次調査) 現地説明会 資料

2013年(平成25年)9月7日(土)
独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所都城発掘調査部
〒634−0025奈良県檀原市木之本町94−1 http://www.nabunken.jp/

甘樫丘は、飛鳥川の西岸に位置する標高145mほどの丘陵です。『日本書紀』には、皇極天皇3年(644)に蘇我蝦夷・入鹿親子の邸宅が営まれたことが記されています。

これまで奈良文化財研究所では、丘陵東麓の南東に向かって開く谷の一つで、継続的な調査をおこなってきました。その結果、7世紀前半から8世紀初頭にかけ、大規模な造成をおこない、石垣や塀、建物などを設けたことが明らかになっています。

今回の調査区は、これまでの調査区の北東に位置します。この谷での調査は今回が初めてで、遺構の有無と、甘樫丘東麓全体での土地利用のあり方の解明を目的としています。調査区はA・B・C区の3つを設定し、面積は合計で1038m2です。A・B区はすでに調査を終了し、C区は2013年1月から調査を開始し、現在も継続中です。

A・B区では、後世の削平などにより、古代の遺構は確認できませんでした。C区では、斜面を削り谷を埋めて広い平坦面を造り、建物を建て、溝を造るなどして利用してきたことが明らかになりました。これらの建物や溝は7世紀中頃をあまり降らない時期に廃絶し、利用されなくなったようです。

これまでの調査成果と合わせると、7世紀代の甘樫丘では、広範囲にわたって大規模な造成をともなう開発がなされていた可能性が高まりました。今後の調査の進展が期待されます。

調査区位置図
調査区位置図

写真1 調査区全景 北から
写真1 調査区全景 北から

写真2 谷の埋め立ての様子 南から
写真2 谷の埋め立ての様子 南から

写真3 建物跡 北から
写真3 建物跡 北から

全景
全景

ページ先頭に戻る

Tweet