平成18年9月9日
調査地 | 京都市上京区下長者町通七本松西入鳳瑞町223 |
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調査期間 | 2006年8月10日〜9月15日(予定) |
調査面積 | 約300m2 |
調査機関 | 財団法人京都市埋蔵文化財研究所 |
平安宮の北西地区にある
現在までに、正親司内では2例の発掘調査と数次の立会調査が実施されている。本調査地北西の調査2では平安時代前期の溝・柱穴と後期の溝を検出している。仁和小学校内の調査3では後世の粘土採取による撹乱が激しく、明確な遺構は検出されていない。立会調査である調査8では、御前通東側の地点で平安時代後期の溝が検出されている。その他の立会調査では残念ながら明確な遺構は検出されていない。
今回の調査で検出した遺構には、溝、土壙、建物、柵などがある。
溝は3条が検出され、溝1は東西方向で幅1.8m、深さ0.4mを測る。溝2は南北方向で幅0.4m、深さ0.1mを測る。溝3は南北から東西に屈曲し、更に南方向に曲がり、幅0.5m、深さ0.4mを測る。土壙は2基が検出された。土壙1は隅丸方形で、東西幅3m、南北幅3.3mを測り、深さは0.5mを測る。土壙2は平面形が楕円形とみられるもので、東西が6m以上、南北3m以上とみられる。建物は南北に並ぶ柱穴を3箇所で検出した。柱間は2.4m(8尺)を測る。東西棟の西南部を検出したものと観察している。柵1は柱間約2mを測り、南北方向で検出した。
出土した遺物は、平安時代前期の土師器の杯・皿、須恵器の杯・皿、
これまで、平安宮の北西部では発掘調査の事例が少なく、各官司の様相は明確とはいえなかった。しかし今回の調査で、正親司に限られたものではあるが、官司内の区画や施設と思われる遺構を確認することができた。遺構の性格については、今後の検討および近辺の調査成果を待ちたい。
図1 調査地位置図(1:5,000)
図2 平安宮正親司跡調査地位置図(1:2,500)
調査区平面実測図(1:150)
拾芥抄は、百科全書みたいなもので、成立時期はよくわかっていない。現存のものは、中世に改編されたものである。この中に、宮城指図や東西京図などがある。
図4 平安宮推定復元図(官司名は、陽明文庫本宮城図などを参照した。)