- 現地説明会日時
- 2021(令和3年)10月2日(土)
- 調査機関
- 奈良文化財研究所
- 現地説明会資料
- https://repository.nabunken.go.jp/dspace/handle/11177/9746
藤原宮大極殿の北方を調査した結果、前期難波宮内裏後殿に相当する建物の痕跡はなく、その造営にも着手していない可能性が高まりました。藤原宮大極殿院の構造および造営過程を考えるうえで、重要な所見を得ました。
大極殿は藤原宮の中心部に位置し、その中央には即位や元日朝賀等の儀式の際に天皇が出御する大極殿があります。大極殿院の調査は、1934年の日本古文化研究所による調査に始まり、1977年以降は奈良文化財研究所が継続的に進めてきました。
2019年には東面回廊に取り付く大極殿後方東回廊を発見し、藤原宮大極殿院と前期難波宮内裏前殿区画の構造上の類似性が改めて注目されました。
今回は前期難波宮内裏後殿に相当する建物の有無を探ることを目的とし、大極殿の北方を広く調査しました。その結果、大極殿後方回廊から大極殿院北面回廊の間には、前期難波宮内裏後殿に相当する建物の明確な痕跡はなく、その造営にも着手していない可能性が高まりました。このことは、藤原宮大極殿院の構造および造営過程を考えるうえで重要な所見と言えます。
先行朱雀大路
藤原宮の造営以前に施工された幅約14.7mの南北道路です。東側溝と西側溝を検出しました。
先行四条条間路
藤原宮の造営以前に施工された幅約5.4mの東西道路です。南側溝と北側溝を検出しました。
運河
幅6.0~7.0mの素掘溝です。藤原宮の造営時に資材を搬入する運河として機能したとみられます。
溝1
幅0.2~0.4mの素掘溝です。藤原宮中軸周辺では丸瓦を連ね、瓦の内外に拳大の礫を詰める暗渠にしています。
大極殿後方回廊
礎石建ち、瓦葺きの複廊形式の回廊で、東面・西面回廊に取り付き大極殿の後方を区画します。調査区東南部において大極殿後方東回廊の一部を、西南部において大極殿後方西回廊の一部を検出しました。
基壇
暗褐色粘質土・暗褐色砂質土・黄褐色砂質土を版築状に積み上げて造成しています。後方回廊の中央には、回廊よりも梁行の広い建物が存在した可能性があります。
回廊および基壇周辺の溝
東西の後方回廊とその中央に位置する基壇の造成にともなう排水溝を、数条検出しました。これらの溝は、大極殿院の造営手順を復元する手がかりとなります。
礫敷
調査区西方および東方において、直径3~15cmの礫を敷いていることを確認しました。
宮廃絶後の瓦堆積
基壇の北方を中心に、瓦が堆積する状況を確認しました。
現場写真
画像を拡大表示した後は、キーボードの左右矢印キーで画像を切り替えられます。
OLYMPUS E-M1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZで撮影
説明ビデオ
OLYMPUS E-M1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZで撮影