- 現地説明会日時
- 2022(令和4年)7月9日(土)
- 調査機関
- 公益財団法人 京都府埋蔵文化財調査研究センター
- 現地説明会資料
- http://www.kyotofu-maibun.or.jp/data/gensetsu-pdf/gensetu-siryoupdf/r04pdf/r04houkikita.pdf
はじめに
今回の調査は、国道423号(法貴バイパス)の建設に伴い実施しています。法貴北古墳群は、27基からなる古墳群で、調査区内の7基の古墳(5・7・18~22号墳)を調査しました。そのうち、5号墳と20号墳の2基が横穴式石室を埋葬施設とする円墳であることがわかりました。そのほかに小石室や木棺墓などが見つかりました。
法貴北5号墳
無袖(むそで)式の横穴式石室を埋葬施設とする直径8mの円墳です。墳丘は高さ約1m残存しており、盛土の流出を防ぐための墳丘内列石が認められます。
天井石は失われています。奥壁から3.5m付近が玄門と考えられます。石室内からは、須恵器杯身(つきみ)・杯蓋(つきぷた)、台付長頸壺(ちょうけいつぼ)、平瓶(へいへい)が出土しました。
出土した須恵器から、古墳時代後期(6世紀後半)に造られ、飛鳥時代中頃(7世紀)に追葬が行われたことがわかりました。
法貴北7号墳
直径15mと推定される円墳の墳丘の裾と周溝の一部を調査し、盛土の中から、須恵器甕の破片が出土しました。20号墳の周溝が7号墳の周溝を削っていることから、20号墳より前に造られていることがわかりました。
法貴北20号墳
無袖式の横穴式石室を埋葬施設とする直径6mの円墳です。天井石は失われています。奥壁から2.8m付近が玄門と考えられます。墳丘には墳丘内列石が認められます。
5号墳と比べると石室の構造や石材が小さいことから、やや新しい古墳と考えられます。石室内からは金銅製の耳飾り(耳環(じかん))や鉄鏃が出土しました。
木棺墓
墓壙(ぼこう)内から須恵器杯、短頸壺、土師器杯などが出土しました。飛鳥時代のお墓と考えられます。
見つかった木棺痕跡から、木棺の本来の位置は破線のようだったと考えられます。
小石室
人頭大の石を組んだお墓です。
遺物が出上していないので、造られた正確な時期は不明です。中には炭化した木材の痕跡が確認でき、櫃(ひつ)のようなものが納められていた可能性があります。
埋葬施設 | 袖部 | 墳丘規模 (m) |
石室全長 (m) |
玄室長 (m) |
奥壁幅 (m) | 出土遺物 | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
法貴北5号墳 | 横穴式石室 | 無袖 | 8.0 | 5.3 | 3.5 | 0.9 | 須恵器杯・台付長頸壺・平瓶 | 墳丘内列石 |
法貴北20号墳 | 横穴式石室 | 無袖 | 6.0 | 3.2 | 2.8 | 0.8 | 須恵器蓋・耳環・鉄鏃 | 墳丘内列石 |
木棺墓 | 木棺直葬儀 | 墓壙幅(m) | 墓壙長(m) | 棺幅(m) | 須恵器杯、短頸壺、土師器杯 | 棺痕跡あり | ||
1.2 | 2.5 | 0.7 | ||||||
小石室 | 小石室 | 0.7 | 0.9 | 0.2 | 櫃痕跡あり |
まとめ
法貴北古墳群の発掘調査は今回が初めてで、5・7・18~22号墳の7基の調査を行いました。その結果、18・19・21・22号墳は、古墳ではないことがわかりました。5号墳は古墳時代後期(6世紀後半)に築造され、飛鳥時代中頃(7世紀)に追葬が行われていることがわかりました。7号墳は墳丘の裾部のみの調査でしたので、時期は不明です。20号墳は、石室の構造から5号墳よりは後に築造されたと考えられます。また、20号墳の周溝が7号墳の溝を削っていることから、7号墳が先に造られたと考えられます。
今回の調査では、新たに木棺墓や小石室が見つかりました。木棺墓の時期は、副葬された土器から飛鳥時代中頃と考えられます。調査した古墳は、5・7号墳→20号墳→ 5号墳(追葬)・木棺墓の順で造られたと考えられます。近接した時期である5号墳の追葬と木棺墓にみられる埋葬方法の違いは被葬者の階層差を表していると考えられます。法貴北古墳群は古墳時代後期頃を中心に築造された古墳群と考えられます。今回の調査で飛鳥時代の追葬や木棺墓が見つかり、古墳群の終焉時期の様子が明らかとなる成果を得られました。
~横穴式石室について~
現場写真
OLYMPUS E-M1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZで撮影
展示遺物
OLYMPUS E-M1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZで撮影
発掘現場ビデオ
法貴北5号墳
法貴北20号墳
OLYMPUS E-M1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZで撮影