- 開催日
- 2016年(平成28年)4月23日(土)
- 調査場所
- ハ幡市美濃山御毛通
- 調査期間
- 平成27年10月19日〜平成28年4月27日(予定)
- 調査機関
- 公益財団法人京都府埋蔵文化財調査研究センター
〒617-0002京都府向日市寺戸町南垣内40-3
URL www.kyotofu-maibun.or.jp
目次
配布資料
はじめに
女谷・荒坂横穴群は、ハ幡市の西辺に位置するハ幡丘陵の南端に造られた古墳時代から飛鳥時代にかけての横穴群です。周辺には、狐谷横穴群、美濃山横穴群、京田辺市の松井横穴群など多くの横穴が造られています(第1図)。今回は新名神高速道路整備事業に伴い、西日本高速道路株式会社関西支社新名神京都事務所の依頼を受けて発掘調査を実施しました。
- 女谷・荒坂横穴群
- 御毛通遺跡
- 御毛通古墳
- 荒坂遺跡
- 荒坂古墳
- 新田遺跡
- 美濃|||廃寺
- 美濃山廃寺下層遺跡
- 内里池南古墳
- 柿谷古墳
- 狐谷横穴群
- 美濃山横穴群
- 王塚古墳
- 小塚古墳
- 美濃山遺跡
- 金右衛門垣内遺跡
横穴とは、丘陵の斜面に洞窟状の穴を掘って造ったお墓です。亡くなった人を納める部屋を玄室と言い、その前面に玄室に入るための通路(墓道)が造られています(第4図)。
これまで女谷・荒坂横穴群では、13回の発掘調査が行われ、80基の横穴が調査・確認されています。
調査の成果
今回の調査は、南・東向きの丘陵斜面で調査を行いました。調査の結果、7基の横穴を検出しました(第3図)。
調査区北寥郭では、横穴の墓道と判断される溝状の遺構が3か所で見つかりました(SX02 ・ 03-1 ・ 03-2)。 調査区南半部では横穴4基を検出しました(SX07・08・11・15)。これらの横穴では玄室部の調査を実施しましたが、SX08・09・11からは人骨や遺物は出土しませんでした。後世に盗掘されたものと判断します。SX15からは、ほぽ埋葬当時のままの状態で人骨と遺物が出土しました。人骨は玄室中央付近とその西側の2か所で検出しました。中央付近の人骨(人骨1)は、頭蓋骨を入口側に、大腿骨などの細長い骨は奥壁側にまとめられていました。追葬時などに動かされたものと考えられます。玄室の西側では頭蓋骨の破片がわずかに見つかりました(人骨2)。副葬品は、玄室の入口部分で土師器の高杯が2点、人骨1の南側で東壁に近接して土師器高杯2点、須恵器長頸壺1点が、人骨2の周囲で耳環や釘が出土しました。
まとめ
今回の調査では、7基の横穴が見つかりました。出土遺物から古墳時代後期ごろに造られた横穴と考えられます。
横穴群の築造過程を復原するための新たな知見が得られました。調査区南半部で検出した4基の横穴は7〜14mの間隔をあけて造られていますが、調査区北半部や北側の第13次調査では、横穴が3〜5mと狭い間隔で造られています。横穴を造り始める際には、南半部のように10数mの間隔をあけて一斉に造り、次に造る際には、横穴と横穴の間を埋めるように1〜2基の横穴を造った結果、北半部のような狭い間隔になったと復原できます。
今回の調査により女谷・荒坂横穴群は横穴が途切れることなく造られていることが確認できました。女谷・荒坂横穴群には少なくとも300基程度の横穴が造られていると推定されており、今回の調査ではそれを追認することができました。周辺の松井横穴群などを含めると、ハ幡市〜京田辺市の周辺には600〜700基の横穴が存在していることが推定され、近畿地方でも最大級の横穴密集地と言えるでしょう。
横穴規模一覧No. | 全長(残存・検出長) | 玄室 | 羨道・墓道 | 出土遺物 | 備考 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
長さ | 巾 | 長さ(残存・検出長) | 巾 | ||||
SX02 | (2.6m) | 不明 | 不明 | (2.6m) | 0.6m〜3.0m | 墓道のみ検出 | |
SX03-1 | (3.1m) | 不明 | 不明 | (3.1m) | 0.5m〜1.5m | 墓道のみ検出 | |
SX03-2 | (2.0m) | 不明 | 不明 | (2.0m) | 1.2m〜2.8m | 墓道のみ検出 | |
SXD7 | (2.7m) | 2.7m | 1.7m〜2.1m | 不明 | 不明 | 須恵器 | 天井崩落・玄室のみ残存 |
SX08 | (6.5m) | 3.5m | 1.5m〜19m | (2.8m) | 1.0m〜1.5m | 天井崩落 | |
SX11 | (7.0m) | 4.0m | 1.0m〜14m | (3.0m) | 0.7m〜1.2m | 天井崩落 | |
SX15 | 12.0m | 4.5m | 1.lm〜15m | 7.5m | 0.5m〜1.0m | 土師器・須恵器・人骨 | 天井崩落 |
公益財団法人京都府埋蔵文化財調査研究センターのホームページにPDFが公開されています。
発掘現場写真
OLYMPUS E-M1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZで撮影
出土遺物
OLYMPUS E-M1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZで撮影
主催者説明ビデオ
概要説明
現場での説明
iPhone 6sで撮影
発掘現場風景ビデオ
iPhone 6sで撮影