- 現地説明会日時
- 2024年(令和6年)1月27日(土)
- 調査機関
- 独立行政法人 国立文化財機構奈良文化財研究所
今回の調査地は、朱雀門の南東約200mに位置し、平城京左京三条ー坊二坪にあたります。平城宮の正門である朱雀門に近く、朱雀大路、二条大路と近接していることから重要な場所であったと想定されています。
奈良県地域デザイン推進局平城宮跡事業推進室からの依頼により、奈良文化財研究所では昨年度より発掘調査を実施しています。本年は、昨年度実施した平城第650次調査に引き続き、左京三条ー坊二坪の中心部分の土地利用の状況を明らかにするために調査を実施しています。
調査成果
①計画的に配置された掘立柱建物群や坪内を区画する掘立柱塀を確認しました
調査区北半で掘立柱建物を6棟確認しました。これらの建物群は、南端の柱筋をほぼそろえて東西に整然と並んでいました。また、調査区東側で南北方向に、調査区南側で東西方向に展開する掘立柱塀を確認しました。二坪では、坪内を塀で区画し、小規模ながらも計画的に建物群を配置していたことがわかりました。
②多数の土坑とそこに捨てこまれた礎石を確認しました
多数の土坑を検出し、合計18基の礎石とみられる石を確認しました。石の大きさは径50~90cmで、ほとんどのものに明瞭な平坦面が認められます。出土状況から、後世に土坑へ石が捨てこまれたものであると考えられます。調査区各所で石が見つかっていることから、付近に複数棟の礎石建物が存在していた可能性が考えられます。
③左京三条ー坊二坪における土地利用の実態が明らかになりました
左京三条ー坊二坪の北半部分を中心に広く発掘調査した結果、掘立柱建物や掘立柱塀をはじめ井戸と考えられる大土坑や礎石を捨てこんだ土坑を確認し、その土地利用の様相が明らかになりました。坪内を塀で区画していたことや、掘立柱建物群が計画的に建てられていたこと、調査区付近に複数棟の礎石建物が存在していた可能性があることがわかりました。
展示遺物の写真
OLYMPUS E-M1 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZで撮影
発掘現場の写真
OLYMPUS E-M1 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZで撮影