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石神遺跡第16次調査

石神遺跡の概要調査の目的/検出した主な遺構/出土した主な遺物/まとめ出土木簡 釈文と解説

※下記の文、図はすべて当日の配付資料からです。

奈良文化財研究所
飛鳥藤原宮発掘調査部

2003年11月22日(土)

遺構図

※上記矢印と番号は写真の番号で、このサイト管理者:湯川が付けました。

 

調査の目的

 今回の調査の目的は、昨年同様、石神遺跡の施設群の北側の状況を明らかにすることです。

検出した主な遺構

説明会の時に使われた遺構図(B-1期/B-2期/C期)を別ウィンドウに表示

B期(天武朝の頃)

 遺構は堆積の状況から2時期に細分できます。
B−1期には大量の木屑の堆積した土坑1と池状遺構があります。池状遺構は、第15次調査で確認しているL字形で池状の溝の続きです。A期の沼を埋め立てた整地土を幅約15m、深さ約40cm掘って造られています。東岸は急勾配で直線的ですが、西岸は緩傾斜で蛇行し、岬状に突出する部分もみられます。
第15次調査区ではこの溝の屈曲部にも両岸から突出部があり、水門と考えられています。B−2期には木屑が多く含まれた土坑2と南北溝があります。南北溝は、池状遺構がほとんど埋まった後で、その西岸近くを流れた浅い溝です。大量の木屑とともに木簡やその削屑も出土しています。

C期(藤原宮期)

 南北大溝はB期の池状遺構を整地土で埋め立てた後に掘られた南北道路の西側溝で、幅約5m、深さ約80cmの溝です。その西側の一部には石敷1が広がります。石敷2は第15次調査区でみつけた井戸周辺の石敷の一部です。

C期以降(奈良時代以降)

 東西石群は幅約1.5mの浅い素掘りの溝に多量の石が入っています。暗渠の可能性があります。

出土した主な遺物

金属製品……銅製人形(ひとがた)

木製品……鋤(すき)(一木造り)、下駄(げた)、斎串(いぐし)、琴柱(ことじ)、漆器、曲物(まげもの)、栓、匙(さじ)、独楽(こま)、糸巻

土器・土製品……土師器、須恵器、坩堝(るつぼ)、土馬、円面硯(えんめんけん)、「物部連(もののべのむらじ」)「五十上」と記した墨書土器

木簡……多くは荷札木簡で、「三川国(みかわのくに)」など各地の地名を記したものや、「己卯年(つちのとうのとし)」(天武天皇八年、679)や「壬辰年(みずのえたつのとし)」(持統天皇六年、692)の年紀のあるものがあります。また、『論語』の一部を記した木簡も出土しています。

まとめ

今回の調査区では、建物群がみられず、第15次調査区から続くB期の池状遺構やC期の南北大溝を検出し、これらがさらに北へ続いていることが明らかになりました。また、出土した多数の遺物は遺構の時期や性格を考える上でも貴重な資料です。

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