長原遺跡

※下記の文、写真は、すべて当日の配付資料からの引用です。

現地説明会資料
大阪市平野区長吉長原1丁目[長原東住宅敷地]
2004年1月24日(土)
大阪市教育委員会
財団法人 大阪市文化財協会

はじめに

長原遺跡は、大阪市平野区長吉長原・出戸・川辺・六反一帯に広がる、後期旧石器時代から江戸時代にかけての複合遺跡です。大阪市教育委員会と(財)大阪市文化財協会は、長吉長原東1丁目にある市営住宅建替え予定地において、2回に分けて発掘調査を行って来ました。最初の調査(NG02−8次調査)は一昨年後半から昨年前半にかけて、今回の調査(NG03−6次調査)は昨年9月から行っています。

まず今回の調査地の立地条件ですが、東西方向の小さな谷地形が見つかり、この谷を挟んで南北に微高地が存在しています。また調査地は、縄文時代の終わり頃にこの付近にできた南北方向に延びる土砂の高まり(出戸自然堤防)の東端に位置しますが、この自然堤防は、弥生時代から古墳時代中期にかけて集落や墓に、飛鳥時代以降は主に田畑として利用されてきたことがわかっています。

評査地の周辺は、弥生時代から古墳時代にかけての遺構・遺物が密集して分布している地域で、前回のNG02−8次調査でも多くの知見を得ることができました。前回の調査のすぐ北に隣接する今回の調査地でも、多くの遺構や遺物が発見されましたが、中でも弥生時代中期後葉から古墳時代中期(約2,100年前〜1,500年前)に至る成果は注目されるもので、弥生時代中期〜後期には集落、弥生時代終末期〜古墳時代前期には墓域、古墳時代中期には再び集落へ、という土地利用の変遷を把握する事ができました。

図1 長原遺跡の位置と周辺の遺跡 図2 かつての出戸自然堤防と現在の町並み