徳川大坂城東六甲採石場

徳川大坂城東六甲採石場 現地説明会資料

2004年7月4日(日)
芦屋市教育委員会

ごく簡単ではありますが、二つの大型現場の発掘調査状況を説明いたしました。調査はまだ途中で進行中ですが、両現場ともに消滅する調査区に主要な石切丁場が出現したため、急きょ見学会を開催したものです。

徳川大坂城の石垣を調査した石切丁場の発掘調査としては、全国最大規模のものであり、また、埋蔵文化財保護の視点から考古学的な手法で採石活動の一端がまとまった面積で知り得るチャンスもこれが最後になるかと思います。二つの現場は石切丁場の中でも担当藩や機能・役割を異にする可能性が強いですが、遺跡としての重要性は同等で、同じ価値をもっています。二つの現場を比較しながらしっかり歩き、手と目で観察を深めていただきたいと思います。巨石を採った江戸時代のひとびとが見たであろう山や谷の風景、石切丁場の労働の光景がきっとよみがえってくることでしょう。

これまで行ってきた民間調査グループや芦屋市教育委員会の調査は、マークとして目立つ刻印石の存在に力点がありました。しかし、発掘現場をごらんになって明らかなように刻印石は採石関係石材のごく一部にすぎません。採石活動の実態は各工程のわかる石切丁場や周辺施設を発掘によって明らかにすることによって初めて技術レベルのことまでが理解できるようになります。今回行われている調査が完了する頃には、さらにさまざまなことが判明することでしょう。